超マニア向け 湿式タイミングベルトとオイル 利点と問題点
湿式タイミングベルトと聞いて?と思う方が多いと思います。通常タイミングチェーンは湿式でオイルにつかっていますが、タイミングベルトは乾式でオイルにつかることはありません。タイミングベルトを湿式にすると実はたくさんの利点があります。例えば、ベルトの寿命が延びるとか、静粛性が増すとか、チェーンより軽量化が出来るなどの利点があります。
採用しているエンジンとしては、StellantisのPureTech と BlueHDiが有名です。これ以外にも、フォードやVWの一部に採用されていますが、あまり多くはありません。
ではなぜ湿式タイミングベルトを採用しているエンジンは少ないのでしょうか。これには理由があり、特に有名なのがステランティスの湿式タイミングベルトエンジン(プジョー 1.2 PureTech EB2)で、ベルトが急激に伸びたり粉砕するリコールが多く発生しています
湿式タイミングベルトはオイルに常時つかっているため、オイルを間違えるとベルトにダメージが発生します。機構としては優れていますが非常にオイル管理が難しいエンジンです。
では湿式タイミングベルトエンジンにはどのようなオイルが適切で、どのオイルが使用できないのでしょうか?
答えは、使えるのはSAPS量がMID-SAPSまたはLOW-SAPSで、グループⅢ・VHVIで製造されたACEA C2規格です。C3でなくC2なのは、HTHS粘度があまり高くない方がよいという理由です。
逆に使用できないオイルとしては、エステル系とバイオベースオイルを使用しているオイルでこれらはベルトを膨潤させ、大きな問題を引き起こすため必ず確認が必要です。
今回は日本ではほぼ目にしない湿式タイミングベルトのオイルについてでした。プジョーユーザーには、必要な超マニアックなブログです。
超マニアックなおまけ
湿式タイミングベルトがエステルやバイオベースに非常に弱い理由はベルトの原料がNBR(ニトリルゴム)のためです。NBRは極性があるエステルなどにふれると膨張と表面硬化で切れやすくなります。

