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有機モリブデン 使用上の注意! その8 Mo濃度による摩擦係数の違い

モリブデン濃度と摩擦係数の変化

 

モリブデンがどの濃度でどれくらい効果が出るのかは企業秘密で誰も教えてくれません。ここではその一部を公開します。上記のグラフはモリブデン(MoDTC)をSP規格オイルに入れて摩擦係数の変化を時間ごとにSRV(摩擦摩耗)試験機で計測した結果です。

  •  モリブデン濃度 50PPM 紺色線 
  • モリブデン濃度 100PPM 赤色線
  • モリブデン濃度 150PPM 緑色線

 最初の摩擦係数はグラフ左端の0.15です。有機モリブデンは熱で二硫化モリブデンに変化(実際はもっと複雑)してから摩擦低減作用を発揮します。そのため効果が出るまで少し時間が掛かります。①と②の50100PPMでは35分程度③150PPMでは30秒程度で摩擦低減します。

 どの程度摩擦が下がるかですが①50PPMでは0.150.14程度 ②100PPMでは0.150.12程度 ③150PPMでは劇的に下がり0.150.08と半分程度まで下がります。

 有機モリブデンを実際にエンジンに入れて見ると50PPMではあまり効果がわかりませんが実はオイルの酸化安定性が向上しています。燃費もすこし向上しますし、タイミングチェーンの摩耗も減少してきます。

100PPMでエンジンが静かになるなど実感できる程度の効果が感じられます。150PPMではエンジンが軽く回り燃費も向上する効果が感じられます。

 グラフからは150PPMまたはそれ以上が最適に思えますが100PPMを超えると①添加剤の相溶性 ②補助添加剤の追加 ③LSPI性能(特に使用油)への影響 など考慮が必要な問題がいろいろ増えてきます。逆にオイル中のモリブデンは使用に伴い減少して効果が薄れます。そこも考慮が必要です。

 添加剤はある意味劇薬です。使用法によって薬にも毒にもなります。どのように適切に使用するかが本当の「企業秘密=技術力」です。

 

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