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JASO「GLV-1」が出来た理由 業界裏話も…

「JASO GLV-1」が2019年10月から施行されました。
この「GLV-1」がなぜ今できたのか解説します。

粘度規格(SAE J300)には「8番」と「12番」の粘度が規定されています。しかしこの2つの粘度のオイルにはAPIなど性能を保証する規格は何もありませんでした。

よりわかりやすく言うと「SN 0W-16」や「SNPlus 0W-20」はありますが、「SN 0W-8」や「SNPlus 0W-12」はありません。「0W-8」「0W-12」の粘度表示しか出来ず、このオイルがエンジンの要求性能を満たすかどうか一切判断基準がない状態でした。

本来であれば国際的規格をAPI(アメリカ石油協会)が制定すればよいのですが、日本以外でこんな薄い粘度のオイルを使用する国がないため、日本の自動車メーカーはJASO(日本自動車技術会)に依頼し「0W-8」「0W-12」向けに「GLV-1」を制定しました。
今後は「GLV-1 0W-8」や「GLV-1 0W-12」が整備手帳に指定油として記載されます。

ここからが業界裏話です。オイルマニアさん、わくわくするのはここからですよ!!

例えば「ホ〇ダ純正ウルトラグリーンモーターオイル」には粘度表示・規格表示がありません。(実は0W-8ですが…)整備手帳に指定油は「ホ〇ダグリーン」と書いてあればどうでしょうか?
公正取引委員会が目をつけます。ホ〇ダ車にホ〇ダ純正オイル以外使用不可なら他のオイル会社の営業を不当に妨害しています。どのオイルを選ぶかは消費者が決めることです。
ところが書きたくても「0W-8」は性能規格がないため「0W-8ならOK」と書くと性能を満たしていない「0W-8」を入れエンジン破損の恐れもあります。そのため性能を保証するこの規格が必要だったわけです。「ホ〇ダ純正またはGLV-1 0W-8」が指定と書けば、公取も、性能も大丈夫なのです。

ただGLV-1規格オイルがアフターマーケット市場に出るのは私の予想では5年位先になると思います。つまり0W-8や0W-12は工場充填油(新車を買ったときに最初に入っているオイル)以外ではあまり使用されないと思われるからです。燃費のカタログデータを良くするためだけのオイルに近いと思います。
これには裏付けがあります。2018年の工場充填油(新車用)は「0W-16とそれ以下の粘度」が14%を占めています。しかし同じ年のカーディラーでは「0W-16及びそれ以下の粘度」は3%です。14%⇒3%と下がるのは2回目のオイル交換ではより高粘度オイルに切り替えるケースがかなり多いと言うことです。(もちろんカーディラーには新車以外も入るのである程度は高粘度化しますが…)

弊社はこの規格はしばらく製造しないつもりです。作っても売れないので…(^^;

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