20年前に開発した全日本F3用レーシングオイルの話 雑談
今回は雑談です。少し時間ができたので過去の書類を整理していたところ、約20年前にある元売りメーカーさんと共同開発した全日本F3用レーシングオイルの資料が出てきました。最近のものは公開できませんが(笑)、今回はその頃の話を少し紹介したいと思います。
レーシングオイルの基本的な考え方ですが、オイル粘度が抵抗となりエンジンの馬力が変わるため「最適粘度特性の把握」が最初に必要でとても大切です。オイル粘度が高すぎるとエンジン内で抵抗となり、加速も悪く最高速も落ちます。粘度が低すぎるとエンジンブローします。エンジンが壊れないぎりぎりの粘度をいかにうまく割り出すかが大切で、この時は0W20、0W30、0W40の3つを候補に挙げ、その中の0W20をメインに検討しました。
次に重要なのが境界摩擦特性です。当時レースで使用していたオイルの実戦成績やSRV試験の結果などを参考にしながら検討を進めました。ちなみにこの年はシーズン途中の8月から検討を始めており、試作オイルでのエンジンテストは10月頃から始めています。(つまり翌シーズン用です)
レース用オイルはレースでの成績をもとにシーズン後半から検討を始めて、オフシーズン中に何度もエンジンテストを行い翌シーズン用の最終仕様を決定します。
ちなみにこの年はエステルの種類と添加量を変更して性能向上させています。(エステルの選定と添加量は非常に技術がいる部分です)
20年前のレーシングオイルは、グループⅢ+エステル+高濃度モリブデンで製造していました。ベースとなった0W20は 40℃動粘度44.4 100℃動粘度が8.5 粘度指数が172 HTHS粘度2.75という性状でモリブデン濃度は約900PPMでした。現在でもこのあたりが実質的な上限に近く、某大手メーカーのレーシングオイルもほぼ同程度の濃度です(^^;) ちなみに1500PPMで試作してみましたが、分離したり問題が多くやはりこの程度の濃度が良いようです。
今回はほぼ無駄話でした。今はいろいろなPAOや複数のエステルの組み合わせ、新しい摩擦低減剤や摩耗低減剤の使用で高性能化していますが、基本レーシングオイルは短時間のレースでしか使用されないため清浄分散剤や防錆剤などは不要ですし、整備もきちんとされるのでエステルによるシールの膨潤もわりと許されます。
実は開発が難しいのは、このようなレーシングオイルよりも、さまざまな使用環境に対応しなければならない市販車用オイルだったりします(^^;)
おまけ
古い技術でありふれてると思われがちなモリブデンですが、最新技術で見たことのないモリブデンを開発中です。お楽しみに!(ちょっと宣伝です)

