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グループⅢベースオイル VHVIは合成油?それとも鉱物油?

「VHVIは合成油か鉱物油か?」でよく論争が起きます。答えはどちらも正解です。その理由を書きます。VHVIとは「Very High Viscosity Index=とても粘度指数が高い」という意味で粘度指数が120以上ある非常に優れたベールオイルです。

 

「合成油」で正解の理由

合成・化学合成という言葉に定義はありません。例えば「高性能オイル」の「高性能」に定義がないのと同じです。ただ「合成油」と言える根拠もあります。これが有名な「モービル対カストロール」の裁判です。(詳しくは2018年12月26日のオイルマニアブログをご覧ください。)この裁判でカストロールが勝訴した結果VHVIを合成油と表記することが認められました。このあと多くの会社が合成と表記して販売しています。

 

「鉱物油」で正解の理由

VHVIは原油を精製して製造します。原油から製造したものはすべて鉱物油です。そのため合成油と表記している会社でもSDS(セフティデータシート)を取り寄せるとベールオイルは鉱物油と記載されています。安全性に関わるSDSの分類では鉱物油です。

 

つまりどちらも正解ですが個人的には「合成」と言っていいのではと思います。それはVHVIの製法を見るとわかります。原油を常圧蒸留したものを減圧蒸留して製造されたVGO(バキュームガスオイル)を水素化分解、接触脱蝋しさらに分子末端を水素化仕上げして製造したVHVIは小さな分子を集めて化学合成したベールオイルと性能的に匹敵するからです。

 

最後にこの論争は原料から見ると「鉱物油」であり、性能から見ると「合成油」であるVHVIの宿命と言えます。これからもずっと繰り返されると思いますが正解はない論争です。

 

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