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ギアオイル その3 ギアオイルの粘度について

今回はギアオイルの粘度です。ギアオイルの粘度表示はエンジンオイルと共通ではありません。詳しく書くとギアオイルはSAE J306規格、エンジンオイルはJ300規格という別の粘度規格です。例えばギアオイルの80番とエンジオイルの40番ではギアオイルの80番の方が低粘度です。例えると部屋の広さを「6畳」と書くか「9.9㎡」と書くくらいの違いがあり2つの数字は比較できません!

 

さてギアオイルは「Wがつく数字」と「Wがつかない数字」で表記されます。「75W80」「80W90」などです。「W」が付く数字は気温が何度まで使用出来るかの目安です。「W(ウインター)」には下記の4種類があり例えば85Wでは―12℃が使用の限界温度です。これ下の温度ではデフの始動性に問題がありオイルの流動性不良により損傷が起きます。使用限界温度とは正確にはギアオイルの粘度が150000cPになる温度です。

 

「W」が付かない数字はギアオイルの粘度です。例えば「90」と書かれたギアオイルは100℃の時13.5~18.5の粘度となります。ほぼ知られていませんがこの100℃最低動粘度(Minimum)は粘度低下を調べるせん断安定性テスト終了後の粘度で、新油粘度ではありません。ここがエンジンオイルと粘度を単純に比較できない点です。「80」や「90」「140」など「W」の表記が付かないシングルグレードは冷間時にかなり高粘度となります。

 

最後に特に気を付けないといけないのは「70W」・「75W」とWがつく数字だけで表記されるオイルの粘度です。これらのギアオイルは非常に粘度が薄く100℃動粘度が「70W」「75W」の最低限の3.8以上あっても「80」の最低限粘度の7.0より低粘度のためこういう表示となります。わかりやすく言いますと「75W」と「75W80」を比較すると、どちらも75Wなので―40℃まで使用可能ですが100℃粘度は「75W」は3.8以上7.0未満、「75W80」は100℃粘度が7.0以上11.0未満となり2つは異なる粘度と言うことがわかります。

 

この「70W」「75W」の問題は省燃費対策と密接に関わってきます。このためギアオイルの低粘度化に向けて「SAE J306」は2019年に大きな変更がありました。これについては非常に難しい問題を含むため次回に記載します。次回はほぼ誰も知らないマニアックな話しとなります。

 

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