OIL MANIA BLOG. オイルマニアブログ

  1. HOME
  2. オイルマニアブログ
  3. ベースオイル
  4. ベースオイルの定義 その4 PAOとmPAO 長所と短所

ベースオイルの定義 その4 PAOとmPAO 長所と短所

グループⅣベースオイルはPAO(ポリアルファオレイン)です。わざわざPAOだけが1つのグループに分類されるのは鉱物油と製造方法や性能が全く異なるからです。PAOは化学的に合成して製造するためオイルの安定性を邪魔する硫黄分などの不純物を含まないとても優れたベースオイルです。もともと航空機用に開発されたベースオイルです。

長所として①粘度指数が高い②低温流動性がよい③引火点が高いため蒸発しにくいなどがあります。たとえば粘度指数は鉱物油が100程度に対してPAOは140程度あり、添加剤を一切入れないベースオイル段階で粘度指数140というのはとてもすごい性能と言えます。低温流動性も鉱物油のマイナス10~20℃程度に対してPAOは約マイナス60℃まで凍りません。低温で柔らかく、高温で粘度を保ち、かつオイル減りが少なく、長持ちする理想のエンジンオイルを作ることが出来ます。

ではPAOとmPAOの違いは何でしょうか。一言で言えばこれまでのPAOを完全に上回る別次元の高性能PAOがmPAOです。mPAOの「m」は「メタロセン触媒」を表しています。ちょっと難しくなりますがPAOはC6、C8、C10、C12、C14から製造しますが、当然ながら分子量が軽いC6は蒸発しやすく、重たいC14は流動性を悪くします。つまりどれだけ分子量を揃えられるかどうかで性能が違ってきます。分子量を揃えれば揃えるほど性能が上がります。今話題のmPAOは「メタロセン触媒」という新技術で分子量を正確にそろえて高性能を実現しています。夢のベースオイルです。ちなみに今弊社が使用しているmPAOは粘度指数が200を超えています。

ではPAOには欠点はないのでしょうか。残念ながらあります。1つはPAOの価格が高い!!と言うことです。鉱物油やグループⅢの数倍の価格です。mPAOはさらに高いです!!そのため性能はすごいのですがどうしても製品価格が上がってしまいます。
2つめはシールを収縮(エストラマーシュリンク)させる性質があります。初期のPAO配合オイルを旧車に入れた時シールから漏れることが多かった理由がこれです。現在弊社ではシール収縮を中和させるベースオイルや添加剤と適量組み合わせて使用することでシール収縮性(攻撃性)を解決しています。これが製造会社が持つノウハウです。

まとめとしてPAOは間違いなく性能が良くベースオイルの基礎体力が上がります。またPAOには新技術で作られた異次元の高性能のmPAOがあります。

追記 研究やオイル改善のためmPAOに興味がある方には少量から販売しております。ぜひお問合せ下さい。

関連記事