ハイブリッド車のエンジンオイル その8 未燃焼燃料の混入と粘度低下 エンジン摩耗の原因
ハイブリッド車では未燃焼燃料の混入が大きな問題です。ではそれによりどのくらい粘度低下するでしょうか?
始動時や冷間時、急加速時などで未燃焼燃料がオイルに混入します。通常のエンジンなら油温が100℃になり未燃焼ガソリンは蒸発しますが、ハイブリッドでは油温が40℃~60℃程度での走行が多いためどうしても未燃焼燃料がオイルに残ります。ではオイル中にガソリンが混入すると、どれくらい粘度が低下するでしょうか?
下記のグラフは0W30と0W20にガソリンが混入した時の粘度低下です。赤線は0W30・緑線は0W20で縦軸が粘度です。
グラフ下側の緑の線がハイブリッドに良く使用される0W20で、これにガソリンが5%混入すると0W20でなく0W16の粘度に、10%では0W12に、15%では0W8粘度まで低下します。エンジンが0W20の油膜を必要としている場合、未燃焼ガソリンが5%混入した時点ですでに油膜の厚さが不足しエンジン摩耗がすすみます。
グラフ上側の赤い線は0W30で5%混入でも0W30、10%でも15%でも0W20粘度がありエンジン摩耗はすすみません。もちろん15%も20%も未燃焼ガソリンが混入というのはまずないでしょうが、逆に0%ということもありません。かならず水分は混入します。
ではどうしたら良いか?という点ですが、1つ高粘度オイルを使用することが一番簡単です。ただHVの一番の売りの燃費が0.5%程度低下する可能性があります。
燃費を考え、0W20を使用するならより水分や未燃焼燃料混入に強い高性能オイルを使用することです。「じゃあどのオイルがいいの?」となるでしょうが、他社のオイルまではわかりません…。(つまり、「モー〇ル1は良いですか?」には答えられないですm(__)m でも優れたオイルと思います)
中身がわかる自社のオイルの中では、私は間違いなくACEA C5/C6 SP 0W20がお勧めです。添加剤とスチレン系の粘度指数向上剤の性能が良いので強いです!(CMですみません)
ハイブリッド車用エンジンオイルは水分の混入と未燃焼燃料の混入という、非常に厳しい状況で潤滑しています。まさに高性能エンジンオイルが必要なエンジンです!
最後に水分や未燃焼ガソリン混入の根本的解決は一定期間ごとに油温が100℃程度まであがる機構の導入ですが、これは自動車会社の問題です。(一部のHVエンジンには導入されつつあります)ハイブリッドエンジンはまだまだ進化の途中にあるエンジンでこれからより良いエンジンになっていくと思います!
おまけ 粘度指数向上剤には種類がありますがその中でもスチレン系がこの粘度低下にも強いです。(本来は企業秘密ですがおまけです)