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粘度指数向上剤について その4  粘度の落ち方は異なる!

オイルを使用すると徐々に粘度低下しますが、粘度指数向上剤の種類により粘度低下のスピードが異なります!

下記の図は、種類が異なる同性能の粘度指数向上剤の粘度低下です。同性能とはせん断安定性=SSIが同じということです。ボッシュテストで計測していて、サイクルはこのテストを何度繰り返したかです。同じせん断安定性能なので通常のオイル交換距離程度に相当する90サイクル後はほぼ同じ粘度まで低下します。

緑がスチレン系粘度指数向上剤、黄色がOCP系です。スチレン系はほぼ直線的に粘度低下しますが、OCP系は初期の粘度低下が非常に早く、その後は徐々に粘度低下します。粘度低下のスピードが異なる理由は、OCP系は基本長い棒状で、例えると素麺やパスタのような形状です。長いので大きな力がかかると切れて、どんどん短くなります。ある程度短くなると切れにくくなります。ここには書いていませんがPMA系もOCP系に近い粘度低下をすると言われています。

 

 

おまけ レーシングオイルには?

あるレーシングエンジンを解説した本に、「レーシングオイルは初期の粘度低下が激しくそのあと安定する」と書かれていましたが、このオイルは粘度指数向上剤の選択を間違えているような気がします。ただし別の可能性として始動から油温が上がるまでの未燃焼燃料の混入による粘度低下も考えらるので私の想像です。

 

おまけ2 こんな危ないオイルも…

下記は某海外製の部分合成10W40オイルの粘度低下です。このオイルは新油で40番の粘度がありますが、すぐ30番の粘度になり、最後はぎりぎり30番でこれ以上落ちると20番の粘度になるところまで粘度低下します。粘度指数向上剤の性能が大切なことがわかります。

なお縦軸は動粘度で、ボッシュテストで90サイクルまで計測しています。

 

 

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