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粘度指数向上剤について その3 粘度低下 一時せん断と永久せん断

今回は粘度低下についてです。粘度指数向上剤がせん断するとオイルは粘度低下しますが、これには2種類があります。

①一時せん断  狭いすきまを無理やり粘度指数向上剤が通過する時、一時的に向きがそろうことで粘度低下を起こしますがまた元に戻ります。バネを引っ張ると、びよーんと伸びますが手を放すと元の長さに戻る感じです。

②永久せん断  粘度指数向上剤が切れることで粘度が低下して、元には戻りません。バネが伸びきって切れてしまった感じです。ただし切れても性能はゼロにはならずある程度効果を発揮します。

高性能な粘度指数向上剤は一時せん断も永久せん断も少なく、長く新油の粘度を保つことが出来ます。逆に普及品を使うと安価にオイルは製造出来ますが、すぐに粘度低下を起こします。

粘度低下についての性能は、せん断安定性指数(SSI)で表されます。SSIは一定時間後にどれだけ粘度低下するかを%で示しています。普及品はSSIが50程度、つまり50%粘度低下します。高級品で25%程度、最高級品ではSSIが0~5程度でほぼ粘度低下しません。これが性能の違いです!

 

粘度には動粘度とHTHS粘度がありますが、HTHS粘度は、①一時せん断が起きている過酷な状態で計測した粘度です。つまり一時せん断しながらも維持する粘度がHTHS粘度で、例えると40℃や100℃動粘度は、休憩中の粘度で、HTHS粘度は一生懸命働いている時の粘度です!

HTHS粘度は下記の図のように円錐形の金属にオイルを入れて150℃まで加熱し、さらに上から強い圧力をかけて一時せん断を起こさせて、その状態での粘度を計測しています。

INFINEUM 資料より引用

HTHS粘度が本当のエンジン内での粘度です。40℃粘度、100℃粘度と同じように、HTHS粘度もとても大切なオイル選びの基準です。

 

おまけ

SSIが「0」の粘度指数向上剤があるならすべてのオイルに使用すればと思われるでしょうが、非常にコストがかかります。製造者にとって製造コストはとても大切で、低価格・大量販売オイル用と高性能オイル用では当然粘度指数向上剤は違う選択となります。

 

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