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粘度指数向上剤について その2   3種類あって用途が異なる!

素麺・うに・くし 包丁で切ると?

 

粘度指数向上剤の2回目です。今回はその種類についてですが、大きく分けて3種類あり、それぞれ性能と用途がことなります。

粘度指数向上剤について書いてもあまり読まれない気がします。なぜならユーザーがこれを知っても選べないからです。ただ知るとオイルの性能の違いの原因の1つがわかります。高性能オイルと普及品の違いもわかります!

 

粘度指数向上剤には次の3種類があります。それぞれの特徴を簡単に書きます。

① OCP系  イメージ的には棒状、たとえば素麺(そうめん)やパスタのような感じです。これがオイルに混ざることで、オイルが流れる際に素麺同士が絡んで粘度を生みます。良い点は、価格が安く少量の添加で粘度がよく上がるので多くのオイルに使用されます。悪い点は長い棒状なので、包丁で簡単に切れるように、せん断に弱く粘度低下が早めです。

② スチレン系 イメージ的にはとげとげのウニのような感じでウニのとげが熱で伸びてからんで粘度を上げます。良い点は、熱に強く、さらに丸いので包丁で切りづらい、つまりせん断に強く粘度低下が少なめです。悪い点は、添加量の割にやや粘度が上がりづらく、多めの添加が必要です。かつ価格が高いので高性能オイルに使用します。

③ PMA系 イメージ的には髪をとく、櫛(くし)のような感じで、くし同士がからみあい粘度を上げます。PMAの良い点は、油温が低い時は、くし自体が縮小して抵抗が少ないので、低温時の粘度が大きく下がります。ここが大きな特徴で、省燃費オイルに使用します。低温粘度が低いので粘度指数が300を超えるオイルを製造できます。悪い点は、粘度をあげる力が弱いので多めに添加が必要で価格もまあまあします。粘度低下もやや早めです。

つまり①OCPはコスパが良いので多くのオイルに使用され、②スチレン系は性能が良いので高性能オイルに使用され③PMA系は省燃費オイルに最適です。

ただこれは非常に単純に書いており、OCPでもせん断がわりと少ないものもあり、スチレン系でもPMA系でも、メーカーや製品により形状や性能が異なるので一般的な傾向と思って下さい。開発・製造面から粘度指数向上剤を選ぶ際は、用途による種類の選定も大切ですが、価格面(コスト)も大切です。

一般的にせん断がしづらい粘度指数向上剤ほど、同じ1%添加しても粘度上昇が少なく、大量の添加が必要です。さらに価格が高いです。つまり大量に高価な粘度指数向上剤が必要なので高性能オイルは製造原価が高くなります。新油時、同じ粘度のオイルが3000㎞ほど走ると粘度がぜんぜん違ってくるのはこのためです。

新油の性能はわかりやすいですが、使用油の性能はなかなかわかりません。ただ良いオイルはここまで気を使って開発・製造します。

 

 

おまけ

この3つ以外にPIB系もありますが、通常使用しないので省略しています。

 

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