粘度指数向上剤について その1 その役割は?
粘度指数向上剤はオイルの性能に大きく関わります。オイルを開発する際、どんな粘度指数向上剤を選ぶかは非常に大切で難しい選択です!今回は誰も書かない粘度指数向上剤のお話です。最初に粘度指数向上剤には、OCP系・スチレン系・PMA系の3つがあり性能と用途が異なることを覚えておいてください。
粘度とは何か…などと難しく書くと読む気がなくなると思うので、わかりやすくオイル製造面から書きます。エンジンオイルは簡単に書くと ①ベースオイルに ②パッケージ添加剤と ③粘度指数向上剤を入れて、熱して混ぜると出来上がります。
たとえば5W30を製造する時、ベースオイルは100℃粘度が「6」を使用します。規格では5W30のオイルは油温が100℃で「9.3~12.5」の粘度が必要なため、例えば100℃粘度を「11」とするには、ベースオイルの粘度「6」に、粘度指数向上剤で「+5」することで、「6+5=11」とします。
つまりオイルに必要な粘度にするために粘度指数向上剤が必要です。こう書くと粘度指数向上剤は増粘剤のようですが、増粘剤との違いは、オイルが低温時はあまり増粘せず、高温になると大きく増粘する効果があり、結果的に粘度指数があがるので粘度指数向上剤と言います。もし低温も増粘すると、冬は高粘度でエンジン始動が重くて、低油温時には燃費が非常に悪くなります。だからこそ粘度指数向上剤が大切です。
次回につづきます。お楽しみに!
おまけ
エンジンオイルを作る際のベースオイルですが、グループⅢ(VHVI)を使用する時は主に100℃動粘度が4のものと6のものを使用します。0W16や0W20の低粘度オイルには4を、5W30や5W40には6を使用します。もちろん4と6をミックスして使用することもあります。例えば0W30を作るには4を多めに、10W30なら6を多めにします。
おまけ2
粘度指数向上剤は業界ではVM(ブイエム)または、VII(ブイアイインプルーバー)と呼びます。これを覚えておくとちょっとプロっぽくなります(^^;)