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DIパッケージの「アップトリート・ダウントリート」とは 業界裏話も…

エンジンオイルは「ベースオイル+パッケージ添加剤(DI)+粘度指数向上剤(VII)」です。もちろん少量のFM剤等や流動点降下剤(PPD)も入っています。

「アップトリート」とは主にパッケージ添加剤を指定添加量(業界ではトリートレート)より多く入れることです。「ダウントリート」はその逆です。アップトリートは一番簡単な高性能オイルの作り方です。ダウントリートは安価にオイルを製造する場合に使われます。(MIKADO OILではアップはしてもダウンは絶対しません!これはポリシーです!)

ではどれだけ違うのでしょうか。DIパッケージの4割は清浄分散剤で、あと潤滑性能に関わるリン分硫黄分も含まれているため、ほんの0.5%程度増やすだけでも、エンジンの清浄性があがり、オイルも長持ちします。さらに耐摩耗性能があがります。弊社では数%程度アップトリートしたオイルも製造しています。
逆にダウントリートするとその反対が起きます。ただダウントリートの場合同じ規格内で下げられるのは1%以下程度です。ダウントリートしすぎると下位グレードになるからです。

下記の表は一例ですが、オイルを製造する際、DIパッケージの添加量でどの規格のエンジンオイルが出来上がるかという実際の資料です。

つまり8.6%から2%ダウントリートすると「SN規格」ではなく、下位の「SL規格」しか取れません。

さてここからが業界裏話です。例えばSN規格オイルを作る場合、アップトリートしていけば限度はありますが性能は確実に上がります(もちろん原価も…)。逆に指定添加量よりダウントリートしていくと性能は落ちますが原価は安くなります。どちらも規格の上では「SN規格オイル」です。このあたりが安いオイルのからくりの1つです。あとのからくりはベースオイルに安いグループⅠ鉱物油をまぜ、粘度指数向上剤の質を落とせば安いオイルの完成です。だからこそ価格でなく信頼できる良いオイルを選んでください。もちろん高いオイル=いいオイルでもないです!

結論 アップトリートは一番簡単な高性能オイルの作り方です!

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